不退寺(ふたいじ)多宝塔下重(奈良市法蓮町517)

   在原業平(ありはらのなりひら)の建立になる寺院。業平寺とも呼ばれる。南都十五寺の一つとして栄えた

不退寺(ふたいじ)多宝塔下重(重要文化財、鎌倉時代、桟瓦葺、一辺3.14m)


桟瓦葺き屋根の頂上には、露盤宝珠を置く

組物は三斗出組、軒は二軒繁垂木

多宝塔は、桧皮葺の上重があったことが寛政年間刊行の大和名所絵図に描かれており、高さは四丈五尺(13.6m)と書かれている

塔は、高欄のない縁をめぐらし、中央間板唐戸、脇間連子窓、中備えは中央間のみ蟇股


軒、二軒繁垂木

柱頭部は頭貫を通じ、貫端に天竺様の木鼻をつける

承和14年(847)業平が勅を奉じて旧居を精舎とし、父阿保親王の菩提を弔うとともに、衆生済度の為、発願し不退転法輪寺と号す

屋根、四隅の鬼瓦


鎌倉時代特有の蟇股

三斗出組

南都十五大寺として栄えたが、現在は室町時代の本堂と鎌倉時代の南大門、多宝塔を残す小さな寺院となっている

多宝塔の内部は四天柱、須弥壇がなく、二重折上げ小組格天井をはめ、彩絵をもって装飾している

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不退寺本堂(重要文化財、室町時代)

桁間五間、梁間四間、屋根単層、寄棟造本瓦葺、軒は二軒繁垂木、組物は三つ斗の枠組、中備えに間斗束を配する

*近鉄奈良線 新大宮下車、徒歩約15分 入場料 400円。

(平成18年12月24日撮影)