新薬師寺(しんやくしじ)(奈良県奈良市高畑福井町1352)
新薬師寺は、天平十九年(747)光明皇后が聖武天皇の眼病平癒祈願の為建立した寺院で、当時は南都十大寺に数えられた。
新薬師寺(しんやくしじ)地蔵十王石仏(鎌倉時代後期 、花崗岩、高さ 90Cm 幅 67Cm)
門を入って左手奥、金網で覆われた覆屋に安置され、下部は埋まっている。長円形の光背を負い、蓮華座上に立つ矢田型の地蔵菩薩を厚肉彫りする |
地蔵の右手は、指を捻じた施無畏印、左手は大きな宝珠を持つ。地蔵の引き締まったお顔や、なで肩の体躯、衣紋線など、確実に表現されている。
光背面は、両脇に冥府の十王立像を配し、上部の向かって右端に焔につつまれる釜、左端に馬、中間に人物像を薄肉彫りし、地獄で呵責を受ける人畜を表現する。
十王石仏は、同じ奈良市内の白毫寺・空海寺・五劫院墓地にもあるが、地獄の表現をした十王石仏は他に例を見ない。 |
十王は冥界で死者の罪を裁く十人の王で、初七日に秦広王、二七日に初江王、三七日に宋帝王、四七日に伍官王、五七日に閻魔王、六七日に変成王、七七日に太山王、
百箇日に平等王、一周年に都市王、三周年に五道転輪王のところで裁きを受ける。地蔵十王石仏は、十王の裁きを受けた後、地獄から地蔵尊に救済されることを願ったもの
新薬師寺 六字名号板碑(室町時代末期 永禄十一年 1568年、自然石、高さ 127Cm 幅 55Cm) |
中央に大きく「南無阿弥陀仏」の名号、向かって右脇に「念仏講一結衆等、敬白」、左脇に「永禄十一年(1568)戊申十一月十五日」と刻む
下部には、蓮華座が薄肉に刻まれている
新薬師寺(しんやくしじ)六字名号板碑 (室町時代)
新薬師寺 六字名号板碑(室町時代末期 、不整形自然石、高さ 126Cm)、地蔵十王石仏の横に置かれる |
新薬師寺(しんやくしじ)本堂前 石燈籠基礎 (鎌倉時代中期 、花崗岩)
自然石の上部を円形に彫り出し、低平な八葉の複弁を刻み、中央に円形の竿受座を作る
新薬師寺(しんやくしじ)本堂前 石燈籠 (花崗岩、高さ 240Cm)
新薬師寺(しんやくしじ)石仏 覆屋
石仏五体、板碑二基が安置されている。前面と横面が金網で覆われ、写真は金網越しに撮った
*JR・近鉄 奈良駅前から奈良交通 市内循環バスに乗車、「高畑町バス停」下車 東方向へ徒歩 約10分。
(撮影:平成23年3月3日)