遍照寺(へんじょうじ)多宝塔(岡山県笠岡市中央町16)

  岡山県下、最古の多宝塔。遍照寺は真言宗の寺院。

遍照寺多宝塔(重要文化財、桃山時代 慶長十一年 1606年建立、本瓦葺、高さ15.0m)


上重、四手先組物、軒は二軒繁垂木

亀腹が本瓦葺になっているが明治の大修理で改変された(以前は漆喰)

遍照寺は鎌倉時代の末期の元弘年間、城主の陶山氏が吉田村(現笠岡市吉田)から当地に移転した

塔は、高欄のない縁をめぐらし、中央間板唐戸、脇間連子窓、組物は二手先、中備えは中央間蟇股、脇間蓑束


上重、軒と組物

下重、二手先組物。柱は面取りの角柱

塔は元禄六年(1693年)と寛政五年<1793年)に大修理が行われたと伝えるが保存は良好

  

塔の内部は来迎柱二本の間に須弥壇を設け、かっては大日如来坐像が安置されていたが現在はない


下重、中備えの蟇股

下重、二手先組物

内部の、来迎柱や扉には十二天、天井には竜、脇間壁板には真言八祖など、室内全面に装飾文様・絵画が極彩色で描かれている

多宝塔は岡山県下にある四基の多宝塔の中で最も古い桃山時代の多宝塔

 山陽路・岡山県の塔  静円寺(じょうえんじ)多宝塔                日本の塔-目次

遍照寺本堂(笠岡市駅前整理事業により西の浜に移された)

*平成15年に行ったとき、塔の周りを整備をしていたが、現在は完了していた。フェンスで囲まれた多宝塔には違和感を感じた。歴史上の建造物を未来に残す上で、致し方ないのだろうが残念に思う。将来、遍照寺の境内に移転することになっているとのことだが、信仰の対象として大事にしてほしいと心から思う。

(平成17年11月26日撮影・最下部本堂写真除く)