宝台寺(ほうだいじ)(岡山県新見市金谷1154)
新見市に五体ある南朝年号「正平十二年(1357)三月三日」銘 地蔵石仏の一体。他の四体は立像だが、この地蔵のみ坐像。
宝台寺地蔵石仏(県指定文化財、南北朝時代中期 正平十二年 1357年、和泉砂岩、高さ 102Cm)
五輪塔の左手前に安置されている。和泉砂岩製で、新見市に五体ある正平十二年(1357)紀年銘の地蔵石仏の一体。この地蔵のみ坐像。 |
新見市には南朝年号 「正平十二年(1357)三月三日」銘の石造延命地蔵が五体あり、この宝台寺地蔵石仏以外に恵重寺地蔵石仏(昼間地蔵)、正田地蔵石仏
(朝間地蔵)、唐松地蔵石仏、金子峠地蔵石仏(夕間地蔵)がある。いずれも和泉砂岩製で、唐松地蔵石仏に「藤原友重」、他の四体には「光阿弥」の銘がある。
地蔵石仏 上部
一部剥落したお顔の後部に、円光背が薄肉彫りされている。
宝台寺地蔵石仏 正面 | 宝台寺地蔵石仏 背面 |
地蔵石仏は、蓮華座上に坐し、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ通常の形相で、光背面に「正平十二年(1357)三月三日、光阿弥」の刻銘がある。
石材の和泉砂岩は、大阪府南部 和泉地方で産出される。特長は、緑青色を帯び軟弱であるが細粒であるため、石面が美しく加工が容易であること。
ただ長年風雨にさらされると剥離や破損しやすい欠点がある。近江においても南北朝時代中期以降この石材が利用されているが、既製品として移入
されたと考えられている。同様に、この地蔵石仏も備中新見の荘を領有する南朝方豪族 新見氏が、畿内から移入した可能性がある。・・・・・・・・・・・・・
地蔵石仏 下方
蓮華座、地蔵坐像、光背が一石で刻まれている。
五輪塔(県指定文化財、鎌倉時代後期)と地蔵石仏(県指定文化財、南北朝時代中期)
恵重寺(けいちょうじ)地蔵石仏(昼間地蔵) 石仏と石塔-目次!
五輪塔と地蔵石仏
本堂手前、覆屋の中に安置されている。
*JR伯備線 「新見駅」 下車、南東方向へ徒歩 約20分。山の中腹に建つ寺院で、信号のない伯備線の線路を横断し、長い石段を登る。
(撮影:平成24年6月30日)