不二庵(ふじあん)石造宝塔(深田宝塔)(大分県豊後大野市三重町本城1497)
基礎側面の文様が珍しい宝塔で、南北朝時代前期 暦応三年(1340)の紀年銘がある。
不二庵 石造宝塔(深田宝塔)(県指定文化財、南北朝時代前期 暦応三年 1340年、凝灰岩、高さ 155Cm)
相輪、欠失し五輪塔の風・空輪を載せる | ||
不二庵(ふじあん)跡、小高い丘の上に立っている | 塔身首部、一段で側面は無地 |
笠
軒口厚く、屋根は両端で反り、軒下に一段の垂木型、頂部に大きい露盤を作り出す。露盤側面は二重輪郭内に格狭間をつくる
塔身、四面に金剛界四仏の種子を薬研彫する(東面、ウーン:阿閦如来) | ||
塔身、四面に金剛界四仏の種子を薬研彫する(南面、タラーク:宝生如来) | 塔身は、壺型で上端に首部、種子「タラーク」の上に納入孔を作る |
基 礎(東面)
基礎、東・西の側面は、二重輪郭を巻き、内を二区に分け、それぞれ上部に格狭間を陰刻し、下部を蓮華文様の線刻とする
塔身、四面に金剛界四仏の種子を薬研彫する(西面、キリーク:阿弥陀) | ||
塔身、宝生如来と阿弥陀如来の種子間に刻銘がある | 塔身、四面に金剛界四仏の種子を薬研彫する(北面、アク:不空成就) |
刻銘:「暦応三年(1340)庚辰二月時正中日」「為現当二世所願成就」「造立・・・・・良円 敬白」
南北朝時代前期 暦応三年(1340)の春 彼岸の中日、現世と来世の安楽を願い良円が造立した。
基 礎 (南面)
基礎、南面と北面の側面は、三重輪郭を巻き、内を三区に分け、中央部の上部に格狭間を陰刻、
下部を蓮華文様の線刻とする。左右の二区は、それぞれ頭部山形・二条線の小さな板碑形を七基ずつ線刻する。
露盤、北面と東面は、格狭間を二重輪郭とする | ||
南面の塔身首部 下に納入孔が穿たれている | 露盤、南面と西面は、表面を彫りくぼめ格狭間をつくる |
不二庵 石造宝塔(深田宝塔)(県指定文化財、南北朝時代前期)
基礎側面や露盤の側面が、変化に富み興味深い
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*JR豊肥本線 三重駅前から大分バス 稲積鍾乳洞または大白谷行き乗車、「深田バス停」下車、北方向へ 約400m。案内するものは何もなかった。深田バス停の北東方向約300mにある熊野社から西方向へ、三差路を右方向へ下り300m位の所に廃屋があり、そこへ入る道を丘の方に登ると立っている。何回も地元の人に聞いて、やっと辿り着いた。
(撮影:平成23年3月13日)