護国寺(ごこくじ)降三世明王種子板碑

 護国寺(ごこくじ)(埼玉県富士見市勝瀬723)

  身部に「ダン」・「ウーン」の梵字を刻む鎌倉時代中期の特徴を備えた板碑。

護国寺 降三世明王種子板碑 (市指定文化財、鎌倉時代中期 、緑泥片岩、高さ 290Cm 下幅 62Cm)

門内右手、後方に立っている。頂部は鋭利感のある山形、身部は蓮華座なしに「ダン」・「ウーン」の梵字、下方の刻銘は磨滅し判読不明

厚さが9Cmと厚く、輪郭線・蓮華座・月輪が刻まれていない等、建長四年(1252)銘の阿弥陀三尊種子板碑と同じ特徴を持つことから同年代の作品と思われる。

また、頭部山形が尖った形をしており、東京都板橋区の龍福寺(りゅうふくじ)阿弥陀三尊種子板碑(建長七年 1255年)とも共通する特長を備えている。

板碑 頂部

頂部は鋭利感のある山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部の輪郭はない。

身部上方、蓮華座なしに「ダン」・「ウーン」の梵字を刻む 板碑、側・背面

二字のうち、上の梵字については、いろいろな見方がある。金剛界大日如来の種子「バン」とも読まれているが、明らかに「バン」とは異なる。

石村喜英氏は、「板碑の総合研究 1 総論編」(坂詰秀一編、柏書房)の「板碑の見える種子と梵字」の項目で、この板碑を「特殊種子と梵字」を持つ板碑とし

紹介している。それによると、梵字「ダン」は大きな声を発する意味で、これにより魔障を断つ意味がこの文字に託されており、「ダン」の梵字は仏尊ではなく下の

種子「ウーン」(降三世明王:降伏の義があり、天魔を屈服させる調伏のの徳が込められる)に関係すると説かれ、この板碑を「降三世一尊種子板碑としている。

上記、梵字「ダン」は、「ラン」(金剛語菩薩)とも見える。「ラン」は、金剛界三十七尊の十六大菩薩 智慧門の金剛語菩薩で金剛界曼荼羅を構成する一尊である。

「ラン」は高野山二十町石(奥院側)上醍醐十六町石笠塔婆に見られ、金剛界曼荼羅の降三世会では中心列の上方の五尊の最上に「ラン」(金剛語菩薩)」が

され、下方の五尊の最上に「ウーン」(降三世明王)が配される。故に、この板碑は金剛界曼荼羅の降三世会に関係する板碑かもしれない。・・・・・・・・・・・・・・

護国寺(ごこくじ)阿弥陀三尊種子板碑

  身部に阿弥陀三尊の種子を刻む鎌倉時代中期の特徴を備えた板碑。

護国寺 阿弥陀三尊種子板碑 (市指定文化財、鎌倉時代中期 、緑泥片岩、高さ 300Cm 下幅 65Cm)

降三世明王種子板碑の横に立つ。頂部は尖った山形、身部は蓮華座なしに阿弥陀三尊種子を薬研彫する。下方の刻銘は磨滅している。

上記 降三世明王種子板碑と同様、輪郭線・蓮華座・月輪が刻まれていない等、建長四年(1252)銘の阿弥陀三尊種子板碑と同じ特徴を持つ。同年代の作品と思われる。

板碑 頂部

頂部は鋭利感のある山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部の輪郭はない。

阿弥陀三尊の種子 頭部、二段の切込は側面に及ぶ。板碑は、厚さ10.5Cmと分厚い

阿弥陀三尊は、上に大きく阿弥陀如来の種子「キリーク」、向かって右下に観音菩薩の種子「サ」、左下に勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。

同型の大板碑が二基並んで立っている。

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護国寺(ごこくじ)本堂 (天台宗)

 板碑(いたび)

*東武東上線 「ふじみ野駅」下車、東北東方向へ徒歩 約17分。

(撮影:平成24年4月20日)