羽島神社(はしまじんじゃ)[島根県安来市飯島町(はしまちょう)297]
金剛界大日と阿弥陀三尊の種子を刻んだ板碑で、紀年銘はないが傍に立つ応永二年(1395)の在銘板碑と同時期のものと考えられている。
権現山参道 種子板碑 (市指定文化財、室町時代前期、安山岩、高さ 88.5Cm 下幅 29Cm)
羽島神社参道、石段を登った踊り場、その崖面を彫りくぼめ、内に安置する。頭部山形、身部に金剛界大日と阿弥陀三尊の種子を刻んでいる |
板碑 頭部
頭部の山形はとがり、下に二条線。額部は両端に面取りを施し、突出する。
身部の種子、金剛界大日如来と阿弥陀三尊 | 身部下方、刻銘:「持鏡禅口」 |
日立金属安来工場内にある仏島種子板碑(室町時代)も、金剛界大日と阿弥陀三尊の種子を刻んでおり、密教系と浄土系の種子が融合している。
これは、当時この地方で勢力のあった天台宗・清水寺が大きく影響していると考えられている。
身部 上方
身部最上方に金剛界大日如来の種子「バン」を刻む。
身 部
金剛界大日種子の下、阿弥陀の種子「キリーク」、その向かって右下に勢至の種子「サク」、左に観音の種子「サ」を刻む。
通常の場合、中尊の「キリーク」が脇侍の「サ」・「サク」に比べ大きく表現されるが、ここではあまり変わらず、脇侍の位置も通常と逆になっている。
権現山参道 種子板碑 (市指定文化財、室町時代前期)
崖面を浅く彫りくぼめ、板碑を安置する。尚、根部は欠失する。
二基の板碑
二基の板碑は、石段を登った踊り場の崖面を彫りくぼめ、内に安置される。
宝篋印塔 残欠
羽島神社の本殿横に、中世の石塔残欠(宝篋印塔笠)が残っていた。
羽島神社(はしまじんじゃ)本殿
権現山(ごんげんやま)という小さな山の頂上に建っている。
*JR山陰本線 安来駅前から日の丸バス松江線に乗車、「前飯島バス停」下車、北西方向へ約400m。羽島神社参道、石段を登った踊り場に二基の板碑が安置されている。
(撮影:平成24年9月18日)