霊山寺(りょうぜんじ)変形宝篋印塔

 霊山寺(りょうぜんじ・れいざんじ)(静岡県沼津市本郷町25-37)

   宝篋印塔と五輪塔が混合した変形宝篋印塔で、相輪を風・空輪、塔身を水輪に置き換えている。鎌倉時代後期 正和三年(1314)の在銘作品。

霊山寺 変形宝篋印塔(市指定史跡、鎌倉時代後期 正和三年 1314年、安山岩、高さ 161Cm)

塔身、舟形を彫りくぼめ顕教四仏を半肉彫りする(東面:薬師如来坐像)
霊山寺背後の墓地、大五輪塔の北側に安置されている 塔身、舟形を彫りくぼめ顕教四仏を半肉彫りする(南面:地蔵菩薩坐像)

塔身は各面、舟形を彫りくぼめ、顕教四仏坐像を蓮華座上に半肉彫りする。但し、南面の地蔵像は通常 弥勒であるが、願主の地蔵信仰を反映したものと思われる。

下端の段型はなく、上六段で最上部は側面二区の露盤とし、隅飾は二弧輪郭付で内は無地。

塔身、舟形を彫りくぼめ顕教四仏を半肉彫りする(西面:阿弥陀如来坐像)
塔身、舟形を彫りくぼめ顕教四仏を半肉彫りする(北面:釈迦如来坐像) 墓地には計四基の変形宝篋印塔があるが、この塔が最も優れている

基 礎

基礎はやや背が高く、上端は二段の段型、側面は四面とも関東形式の二区。

相輪部は、五輪塔の風・空輪を一石で彫成し、空輪は宝珠の形。顕教四仏を刻む球形の塔身とよく合い、整った美しさを見せている。

反 花 座

上端は複弁反花、側面は無地で、東面に刻銘がある。

刻銘:「右志、為逆修、沙弥観妙、尼妙真、正和三年(1314)二月口口、所造建如件」

刻銘:正和三年(1314) 刻銘から沙弥観妙、尼妙真 夫妻の逆修塔であることがわかる

逆修(ぎゃくしゅ)とは、生前に自らの「来世における往生菩提」の為に仏事を行うことで、死後の追善仏事よりたくさんの功徳を得ることが出来ると説かれた。

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霊山寺本堂 (曹洞宗永平寺派)

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*JR東海道本線 沼津駅前より沼津登山東海バス 温泉プール行きに乗車、「霊山寺(れいざんじ)バス停」下車 すぐ。変形宝篋印塔は、霊山寺後方の墓地、大五輪塔の後方に立っている。

(撮影:平成24年11月6日)