永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔

 永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔(鳥取県倉吉市岩倉236)

   十三重石塔の近くで出土した三基の宝塔で、もとは赤碕塔(あかさきとう)に似た形状をしていたものと推定されている。

永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔 三基 (市指定文化財、鎌倉時代、凝灰岩、中央塔:2号塔高さ 51.5Cm)

三基とも市指定文化財で、向かって右から1号塔、2号塔、3号塔

 永昌寺 石造宝塔 第一号塔

   正面に法華曼荼羅(ほっけまんだら)、側面から背面に胎蔵界大日と金剛界四仏の種子を刻んだ大変珍しいもの。

永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔 一号塔 (市指定文化財、鎌倉時代、凝灰岩、高さ 48.8Cm)

塔身正面、法華曼荼羅を種子で刻む。 胎蔵界大日の種子「アーンク」(右)と金剛界四仏の種子「ウーン」

両側面と背面に、胎蔵界大日(五点具足)の種子「アーンク」と金剛界四仏の種子 ウーン(阿閦)、タラーク(宝生)、キリーク(阿弥陀)、アク(不空成就)を刻む。

法華曼荼羅図(現地説明板 部分)

密教においては法華経法という修法により、増益・息災を祈願したが追善の為にも修法された。その本尊が「法華曼荼羅」

「法華曼荼羅」は、中央に釈迦(バク)・多宝(ア)両如来が二仏並座し、その周囲の八葉蓮弁に弥勒・文殊・薬王・妙音・常精進・

無尽意・観音・普賢の八大菩薩を種子で表現する。さらに通常第三院の四隅に配される烏瑟沙摩(うすさま)・軍茶利(ぐんだり)・

不動・降三世(ごうさんぜ)の四明王を種子で、八大菩薩の外の四隅に配している。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

釈迦・多宝二仏並座の宝塔は、「法華経 見塔品」に基づいて造られた密教系の塔で、種子で刻んだ古いものに吉祥寺跡石造宝塔(熊本県玉名市)

像で刻んだものに安養寺石造宝塔(京都市)満願寺跡宝塔(滋賀県高島市)等がある。特に、熊本県玉名市の山田毘沙門脇 宝塔は、二仏並坐像

と多宝如来が宝塔の中より大音声を発して釈迦をほめる 法華経見宝塔品 に出る偈(げ)が刻まれていて興味深い。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

向って右から、金剛界四仏の種子「ウーン」、「タラーク」 向って右から、金剛界四仏の種子「タラーク」、「キリーク」、「アク」

宝篋印塔式の笠で、下二段・上五段の段型をつくり、四隅の隅飾りは欠失する。塔身上端は、一段の首部をつくる。

石造宝塔 一号塔 (市指定文化財、鎌倉時代) 一号塔 復元推定図(赤碕塔)(現地説明板 部分)

赤碕塔は、倉吉市の西側に位置する旧赤碕町(現琴浦町)に複数ある地方色豊かな宝塔で、笠が宝篋印塔式。川勝政太郎博士が赤碕塔と名付けた。

塔身下部

塔身下辺に、赤碕塔特有の大きな単弁の反花(かえりばな)をめぐらしている。

 永昌寺 石造宝塔 第二号塔

永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔 二号塔 (市指定文化財、鎌倉時代、凝灰岩、高さ 51.5Cm)

 永昌寺 石造宝塔 第三号塔

永昌寺(えいしょうじ)石造宝塔 三号塔 (市指定文化財、鎌倉時代、凝灰岩、高さ 44.5Cm)

 永昌寺 石造多宝塔

永昌寺(えいしょうじ)石造多宝塔

永昌寺(えいしょうじ)の石造物群

多宝塔の右手に三基の宝塔、その右側には十三重石塔が安置されている。

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永昌寺(えいしょうじ)(曹洞宗)

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*JR 山陰本線 倉吉駅前から日ノ丸バス広瀬線 広瀬行きに乗車、「岩倉バス停」下車、南方向へ徒歩 約7分。

(撮影:平成24年6月28日)