江南文化財センター(埼玉県熊谷市千代329)
真光寺阿弥陀一尊種子板碑(安貞二年 1228年)に次ぐ日本第三位の古さを誇る板碑で、日本最古の須賀広阿弥陀三尊板碑と同じデザイン。
江南々校阿弥陀三尊図像板碑(県指定文化財、鎌倉時代前期 寛喜二年 1230年、緑泥片岩、高さ 180Cm 下幅 57Cm)
江南文化財センターのロビーに展示。身部は、上方に阿弥陀三尊を半肉彫りし、下方に寛喜二年(1230)の紀年銘と偈(げ)を刻む |
板碑 頭部
頭部は低い山形、下に二段の切込、身部は輪郭を巻かない
もと江南々校校庭にあった板碑。上方は二重光背型を彫りくぼめ、反花(かえりばな)のついた蓮華座上に来迎阿弥陀立像を半肉彫する |
阿弥陀の下は脇侍で、二重光背型の中に観音・地蔵の両脇侍を半肉彫りする。三尊とも頭光から、短い光明を放射状に線刻する。
阿弥陀三尊 脇侍
脇侍は、向かって右に観音菩薩、左は勢至菩薩に代わって地蔵菩薩を半肉彫りする。
板碑下部、中央に紀年銘、左右に偈(げ)を刻む | 板碑は、惜しい事に脇侍の部分で二片に割れている。 |
銘文は中央に「寛喜二年(1230)、歳次、庚寅、六月、二十、三日、為悲母、奉造立」、
左右に偈(げ)「若有重業障、無生浄土因」「乗弥陀願力、必生安楽国」を刻む。
鎌倉時代前期 寛喜二年(1230)六月二十三日に母の供養の為、観音菩薩往生浄土本縁経の偈を添えて造立された。
往生本縁経の偈(げ)
偈(げ):「若有重業障(にゃくうじゅうごうしょう)、無生浄土因(むしょうじょうどいん)、乗弥陀願力(じょうみだがんりき)、必生安楽国(ひっしょうあんらくこく)」
[ 若し重き業障ありて、浄土に生まれる因がなくても、弥陀の願力(誓願の力)に乗ずれば、必ず安楽国(浄土)に生まれることができる]
江南文化財センターのロビーに展示されている板碑三基
向かって右が日本最古の紀年銘(嘉禄三年 1227年)がある阿弥陀三尊図像板碑、中央が弘安九年(1286)銘の曼荼羅板碑
*江南文化財センターへは、JR熊谷駅前から国際十王バス小川町駅・県立循環器呼吸器病センター行き乗車、「大沼公園バス停」下車、北方向へ 約600m。開館:平日の午前9時~午後5時。
(撮影:平成23年11月2日)