浅草寺(せんそうじ)(東京都台東区浅草2-3-1)
板碑は古くから有名で、図像部は右手に錫杖を持ち、「異形の釈迦如来」あるいは「地蔵 弥陀同体の形相」を表すともいわれている。
浅草寺 西仏(さいぶつ)板碑(都指定文化財、鎌倉時代中期、緑泥片岩、高さ 217.9Cm 幅 48Cm)
浅草寺 影向堂の手前に立ち、上方を欠損する。残部は上方より、釈迦の種子、蓮華座上に立つ尊像と小像、供花の宝瓶及び願文を刻む |
板碑には紀年銘が刻まれておらず確かな年代は不明だが、梵字や図像の様式から鎌倉時代中期と推定されている。(現地説明板では、鎌倉後期~室町初期)
指定 | 名称 | 制作年 | 上方 種字 | 身部図像 | 高さ(Cm) | 所在地 | 備考 |
観福寺(かんぷくじ)阿弥陀三尊 板碑 | 文応二年(1261年) | キリーク | 阿弥陀三尊 | 263 | 埼玉県行田市 | ||
光恩寺(こうおんじ)地蔵図像板碑 | 文永八年(1271年) | 不明 | 地蔵菩薩立像 | 163.2 | 群馬県千代田町 | 断碑 | |
おねんぼう様(阿弥陀種子・図像複合板碑) | 文永十二年(1275年) | キリーク | 来迎阿弥陀 | 230 | 埼玉県吉見町 | 断碑 | |
盛徳寺(じょうとくじ)地蔵図像板碑 | 文永年間(164~75年) | キリーク | 地蔵菩薩立像 | 166 | 埼玉県行田市 | ||
浅草寺(せんそうじ)西仏(さいぶつ)板碑 | 鎌倉時代中期 | バク | 地蔵 弥陀同体の形相 | 217.9 | 東京都台東区 | 断碑 |
種字・図像 複合板碑一覧 (皆 大型板碑で鎌倉時代中期 1261~1275年に集中している)
身部上方
蓮華座・月輪なしで、釈迦如来の種子「バク」を薬研彫する。身部は一重線の輪郭を巻いく。
蓮華座上に立つ、尊像、右下に小像を刻む | 右下の小像、尊像に向かい、手を合わせている様にも見える |
蓮華座上に立つ尊像は、右手に錫杖を持つ。主尊の種子が釈迦如来の種子「バク」であり、文化十一年(1814)に補強された石枠の銘に釈尊石像とある所から、異形の
釈迦如来とする説。また、川勝政太郎博士は、石造美術辞典(東京堂出版)のなかで、「地蔵弥陀同体説による形相で、右下の小像は念仏信者と思われる」と述べている。
身部下方の刻銘
中央に四本の花を生けた大きな宝瓶、と「西仏、敬白」、左右に各二行の刻銘がある。
刻銘:「右志者為四躰内三躰、沙弥西仏先妻女幷、男女二子為一躰沙弥、西仏現当二世所願円満」「沙弥西仏、敬白」
沙弥西仏が、亡くなった妻の後生、男女二子と自身の今生と後生の円満を願って造立した。
右手に大きな錫杖頭のついた錫杖を持つ尊像 | 供花、宝瓶に四本の花が生けられている |
浅草寺 影向堂(ようごうどう)
中尊に聖観音像、その左右に十二支に応じた本尊八体が祀られている。板碑は道路の手前、植込みの中に立っている。
浅草寺(せんそうじ)五重塔 (昭和48年 1973年再建、アルミ製本瓦葺、高さ 48.32m)
五重塔は地上高53.32m(塔高 48.32m)。最上層の奉安室にはスリランカ、「イスルムニヤ精舎」から贈呈された仏舎利が納められている。
浅草寺(せんそうじ)(聖観音宗 総本山)
浅草観音の名で知られる関東随一の名刹で、坂東三十三ヶ所観音巡礼第十三番札所
*東京メトロ銀座線、都営浅草線、東武スカイツリーライン、 「浅草駅」下車 徒歩。
(撮影:平成24年4月25日)