王子(おうじ)十一面観音石仏

 王子(おうじ)十一面観音石仏 (埼玉県熊谷市弥藤吾)

   今はない王子古墳の上に安置されていた石仏で、石棺の側石を彫りくぼめて造仏したともいわれている。

王子(おうじ)十一面観音石仏 (平安時代後期、凝灰岩、高さ 142Cm)

三ツ橋バス停、南東約150mの小堂に安置する。石仏は大破し、現状 四片に割れた石片をコンクリートでつなぎ補修している。

十一面観音 上半部

頭上に化仏をいただき、肉取りも豊かに厚肉に彫られている。

十一面石仏は、蓮華座上に坐している。手の部分が破損し印相は定かではないが、頭上の化仏は磨滅しながらも形をとどめている。

この妻沼地区は、全国的にも数少ない鎌倉時代の善光寺式三尊板碑が三基あり、阿弥陀三尊図像板碑も玉洞院(ぎょくどういん)に見られる。

善光寺式三尊板碑は、歓喜院(かんぎいん)能護寺(のうごじ)福寿院(ふくじゅいん)にあり、鎌倉時代には阿弥陀信仰が盛んであったこと

伺える。本 十一面石仏に続く年代のものである。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

十一面観音 蓮華座

蓮華座は、薄い蓮弁を二段にした形式。

石仏は、今はない王子古墳の上に安置されていたもので、石棺の側石を彫りくぼめて造仏したといわれている。作風から、平安時代後期の作とされる。

尚、十一面観音を刻んだ石仏は珍しく、平安時代後期の作品では、豊後大野市の菅尾(すがお)磨崖仏があり、南北朝時代では、唐津市の鵜殿(うどの)磨崖仏がある。

また、作風は平安時代後期の作品である大阪府柏原市の瑠璃光寺(るりこうじ)如来形石棺仏に似ている。(参:紀年銘順の石仏

 国性寺(こくしょうじ)阿弥陀一尊種子板碑                           石仏と石塔-目次!

王子(おうじ)十一面観音石仏

現在、コンクリート製の覆屋内に安置されている。

 石  仏-紀年順-目次

*JR熊谷駅前から朝日バス太田駅・西小泉・妻沼・妻沼聖天前行きに乗車、「三ツ橋バス停」下車、南東方向へ約150m

(撮影:平成24年4月22日)