無量光寺(むりょうこうじ)康永三年銘 宝篋印塔

 無量光寺(むりょうこうじ)(神奈川県相模市南区当麻578)

  歴代廟 中世塔婆のなかで、相輪まで完存する大型宝篋印塔。康永三年(1344)の在銘で、関東における南北朝時代前期を代表する宝篋印塔。

無量光寺 宝篋印塔(市指定史跡、南北朝時代前期 康永三年 1344年、安山岩、高さ 185Cm)

歴代廟所、中央塔から右側へ一基目の宝篋印塔 基礎の刻銘:「康永三年(1344)、甲申

笠は、縦に低く、横に広がる。隅飾りも、横広の感がある。

段型は下二段、上五段で最上部は側面二区の露盤とし、隅飾は二弧輪郭付で内は無地、やや外傾する。

塔身 正面

塔身は、四面とも輪郭を巻き内は無地、紀年銘は塔身ではなく基礎に刻まれている。

相輪は、下から伏鉢・請花・九輪・請花・宝珠で、九輪は輪間を線刻で表現する。関東における南北朝時代前期を代表する宝篋印塔。

基礎 正面

基礎上端は二段の段型、側面は四面とも関東形式の二区で、正面に紀年銘が刻まれている。

刻銘:「康永三年(1344)、庚申、十月二日」

反 花 座

上端は複弁反花、側面は二区で、内は無地。

無量光寺 歴代廟塔 中央

康永三年(1344)銘宝篋印塔は、中央塔の右1の位置に安置されている。

新造の大型宝篋印塔が中央に、左右に十五基、前方にも多数の宝篋印塔が安置されている。

指定 名       称 制  作  年 西  暦
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)文保三年銘 宝篋印塔     鎌倉時代後期 1319年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)元応二年銘 宝篋印塔     鎌倉時代後期 1320年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)康永三年銘 宝篋印塔     南北朝時代前期 1344年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)貞和年銘 宝篋印塔      南北朝時代前期 1345~50年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)康安元年銘 宝篋印塔     南北朝時代中期 1361年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)至徳四年銘 宝篋印塔     南北朝時代後期 1387年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)応永二年銘 宝篋印塔     室町時代初期 1395年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)応永十四年銘 宝篋印塔    室町時代前期 1407年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)応永二十一年銘 宝篋印塔  室町時代前期 1414年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)永享二年銘 宝篋印塔     室町時代前期 1430年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)文安二年銘 宝篋印塔     室町時代前期 1445年
市・史跡 無量光寺(むりょうこうじ)寛永七年銘 宝篋印塔     江戸時代前期 1630年

無量光寺(むりょうこうじ)宝篋印塔 一覧

 無量光寺(むりょうこうじ)貞和年銘 宝篋印塔                    石仏と石塔-目次!

無量光寺 仮本堂 (市指定文化財)

本尊は、一遍自らが頭部を自作したという木造一遍上人立像。右脇に二祖 真教上人像、左に三祖 智得上人像が安置されている。

本堂は、明治二十六年(1893)の大火で焼失、正式なものは再建されていない。本堂跡には、宗祖一遍上人の銅像が立っている。

宝篋印塔紀年順  宗本寺 康永四年銘 二重宝篋印塔(南北朝時代前期)  宝篋印塔-紀年順-目次

*JR東相模線 「原当麻(はらたいま)駅」下車、西方向へ徒歩 約17分。

(撮影:平成24年11月7日)